個人の健康データから自殺を予見
- Tomoyuki Saito
- 2017年3月25日
- 読了時間: 3分
今回は、個人の健康データから自殺企図のリスクを予見するという研究をシェアします。
引用元:Predicting Suicidal Behavior From Longitudinal Electronic Health Records. The American Journal of Psychiatry. 2017.(論文タイトル、雑誌名、発表年)
これは、アメリカで行われたものです。
最近は医療、健康面の情報を電子データとして保存しておく流れがあります。
例えば、どんな病気をしたことがあり、どんな薬を使ったことがあるかという記録です。
こうしたデータは個人情報なので、セキュリティの問題があるのですが、やはり、有効活用すれば、メリットがあります。
こうした電子データを精神科領域でも役立てることができるのではないか?
と考えて行われた研究をご紹介します。
なんと、自殺企図のリスクを、データから予見するというものです。
精神科においては、患者さんにとっても、医師にとっても、自殺企図は絶対に避けたい問題です。
これを防ぐには、まずは自殺のリスク評価が大事だと言われています。
問題を解決するには、まずはその問題を認識することから始めますよね?
リスクを回避するときも、まずはそのリスクを認識することから始めるということです。
こうした自殺のリスクを、データサイエンスを使って認識していくわけです。
この研究では、1998年から2012年にかけての個人の健康面のデータが使われました。
いわゆる後ろ向きの研究というもので、過去のデータを振り返って解析したものになります。
三回以上の通院があった人が調査対象になったようで、その人数は1,728,549人。
ビッグデータですね。
これらの人の自殺企図の有無について、確認されました。
その結果、1.2%にあたる20,246人の方に自殺企図があったとのことです。
更に統計を使って調べていくことで、自殺企図のリスクを予見するには、何が大事なのかが見えてきました。
一つには、当たり前ですが、精神疾患の有無です。
精神疾患がある方では、どうしても自殺のリスクは上がってしまいます。
また、これとは別に、健康面の問題も関係していることが分かりました。
慢性的に長く続く病気を持っている人は、自殺企図のリスクが高まるということです。
このような方法でリスクをしっかりと評価できれば、誰にどのようなサポートをすべきかが見えてきます。
しっかりサポートすれば、自殺はある程度は回避できます。
より効果的に困っている人々をサポートしていくためにも、こうした健康面のデータの利用が有効のようですね。
特に、日本では自殺率の高さが問題になっていますので、健康データの利用については、もっと考えて良いのかもしれません。
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