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統合失調症とビタミンD



統合失調症とビタミンD

精神疾患には色々なものがあり、ストレス性のものもあれば、脳の障害が先に出るような病気もあります。ストレスが関わるものだと適応障害が多いですが、恐ろしいトラウマ体験が影響するPTSDなどもあります。

しかし、精神疾患はストレス以外にも様々な要因が関わります。脳の異常、ホルモンの異常、遺伝的な要因という生物学的な要因も精神疾患に関わってくるのです。

生物学的な要因が強い精神疾患の一つに統合失調症という病気があります。統合失調症は、誰もいないのに人の話し声が聞こえるなどの幻聴や、いろんな人に見られている、狙われている、盗聴されているなどと思い込む被害妄想などの症状が出る精神疾患です。こうした症状は精神病症状とか陽性症状などと言われます。一方で、意欲がなくなったり、喜怒哀楽が弱くなったり、引きこもりになったりという陰性症状という症状も出ます。そして後述するように、認知機能障害という症状も出ることが知られています。

この統合失調症は脳の異常という側面が強く、ストレスがなくても発症してしまいます。脳の形状なども変化すると言われていますが、こうした脳の障害の結果、知能や考える力まで低下してしまいます。こうした知的な働きを認知機能と言い、これが低下することを認知機能障害と言います。認知という単語は、認知症の認知と同じです。認知機能障害が強まり、生活に支障が出てくると認知症と呼びます。

今回は、この統合失調症の認知機能障害に関わる論文を紹介します。なんとビタミンDが関係するというのです。

ビタミンDが不足すると認知機能障害が起こりますが、これが精神疾患でも関わっているのではないかと調べた研究です。2003年から2014年にわたり、225人の患者さんが調査され、159人の健常者と比較しました。そこで、ビタミンDと認知機能の関係が調べられました。

すると、ビタミンDが不足すると、処理速度、言葉の流暢性(スラスラと話す力)が下がることが分かりました。つまり、考える力、情報を処理する力が遅くなるということ。コンピューターですとCPUの性能が悪くなるようなイメージですね。この結果から考えれば、ビタミンDを取ると認知機能の障害が軽くなったり、治ったりするのではないかという仮説も立てられます。

今後は、ビタミンDを薬のように摂取すると脳の働きが良くなり、処理速度が上がったり、スラスラと話せるようになったりするかどうかを調べる研究が必要です。このように一つの研究結果から新たな仮説が生まれ、その仮説を検証するために新しい研究が立ち上がるという連鎖によって科学は進歩していきます。今後の進捗に期待しましょう。

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