脳トレの科学的な根拠
認知機能とは、記憶したり、学習したりなどの脳が持つ知的な働きのことです。 注意力、集中力も認知機能に含まれます。
この認知機能が少しだけ低下した状態が、軽度認知障害と呼ばれます。
これは、実生活にはまだ問題が出ない程度で、少し忘れっぽくなった程度の症状です。
認知症の一歩手前の状態で、グレーゾーンという言い方もできます。
さらに認知機能が低下すると生活が成り立たなくなり、ここまでいくと認知症と言われるレベルになります。
さて、今回はこうした認知機能が低下した人に、脳トレが有効かどうかを検証した研究を紹介します。
ちなみに、日本で脳トレと言われるような、ゲーム機を使った頭のトレーニングは、専門的に言えば認知機能のトレーニング、もう少しいうと、コンピューター(ゲーム機はコンピューターです)を使った認知機能のトレーニングです。
軽度認知障害や、認知症の人に、脳トレと言われるような認知機能のトレーニングが有効なのかどうか。
これは、よく議論になる話題です。
今回紹介する研究は、すでに行われた良質な研究(無作為化比較試験と言います)を複数まとめたメタ解析と呼ばれるもので、科学的なエビデンスとしては、最も確かなものになります。
そして、17の研究結果をまとめたところ、軽度認知障害に対して脳トレ(認知機能のトレーニング)は中程度は有効(すごく効くわけではないけど、ある程度は効くという意味です)だということが分かりました。
具体的には、記憶、学習や注意力に有効で、うつ症状を改善するといった心理的な効果もあるという結果でした。
これに比べると、認知症に対する効果は弱かったということです。
まあ、ある程度進行したら改善しないというのは、どんな病気でも一緒ですから、これは当然の結果でしょう。
この結果から言えることは、歳をとって少し物忘れが増えたなと思ったら、まだ間に合いますから脳トレをした方が良いということです。
こうした話が、科学的にはっきりと言えるというのは世間に対するインパクトの大きい話だと思います。
今後は、高齢者に向けた脳トレが広まっていくと良いですね。
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