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精神疾患とタバコと禁煙


こちらでは、昨年にnoteで公開した記事を一部修正して記載しています。

禁煙に関する研究の紹介です。

タイトル:Weight gain and 10-year cardiovascular risk with sustained tobacco abstinence in smokers with serious mental illness: a subgroup analysis of a randomized trial 著者:Thorndike AN1, Achtyes ED, Cather C, Pratt S, Pachas GN, Hoeppner SS, Evins AE 雑誌、発表年:J Clin Psychiatry. 2016.

私はタバコを吸わないので分かりませんが、喫煙者はストレスがたまったり、イライラするとタバコを吸いたくなると言います。

タバコを吸うと、リラックスするわけです。

そういう理由もあってか、精神疾患がある人は、タバコを吸っている人が多いです。

おそらく、自分の気持ちを落ち着かせるための喫煙でしょう。

しかし、タバコは健康に悪いわけです。

タバコを吸うと、がんになりやすくなったり、心臓の病気になりやすくなったりします。

安定剤の代わりという意味もあるのかもしれませんが、やはり、タバコは吸わない方がいいわけです。

今回ご紹介する研究では、精神疾患がある人の禁煙の話です。

この研究では、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害など、比較的に重い精神疾患の方々が参加しています。

そして、この方々に対して、12週間にわたってバレニクリン(日本ではチャンピックスとして処方されています)という薬を使った禁煙治療が行われました。

その後、40週間フォロー(追跡)して、本当に健康になったのかが調べられました。

合計52週間ですから、約1年にわたった研究になりますね。

この52週間の研究に最後まで参加したのは65人で、禁煙に成功したのが33人、失敗してまた吸ってしまった人が32人という内訳です。

健康ってどう評価していいのか、なかなか悩ましいところなんですが、この研究では、フラミンガムスコアというものを使っています。

このフラミンガムスコアとは、アメリカで開発されたもので、年齢、性別、コレステロール、血圧、喫煙の有無などから数値を出して、心臓の病気になるリスクを評価するというものです。

このフラミンガムスコアが高いほど、不健康で心臓の病気になりやすいということですね。

つまり、健康診断の判定みたいなものです。

禁煙治療を始める前の時点では、なんと、禁煙に成功した33人の方が、禁煙に失敗した32人よりも、このフラミンガムスコアが高かった、つまり不健康だったとのことです。

不健康な人の方が禁煙できるということでしょうか?

ちょっと意外ですよね。

まあ、ただの偶然かもしれないですから、ここはあまり気にしないでおきましょう。

さて、それでは、52週間の後には、どのような結果が出たのでしょうか?

禁煙した人は、ちゃんと健康になったのでしょうか?

正解は、ちょっと複雑です。

やはり、タバコをやめた人の方が、先ほど説明したフラミンガムスコアが下がっていたようです。

つまり、やっぱり、タバコをやめると心臓の病気になるリスクは減るみたいですね。

しかし、あまり良くない結果も出てきました。

なんと、タバコをやめた人の方が、やめられなかった人よりも太ってしまったとか。

実は、この研究に参加した人たちのBMI(Body mass index. 体型指数)は平均して31と高かったそうです。

BMIの標準は22です。

BMIが31というのは、立派な肥満体型です。

そんな人たちが、さらに太ってしまったのです。

タバコをやめた人が4.8kgの体重増加。

それに比べて、やめられなかった人も1.2kg太ったようです。

しかし、タバコをやめた人の方がしっかりと太ってるのは数字を見れば明らか。

単純に体重だけでは健康かどうかは決められませんが、これはちょっと、「なんだかな〜」という結果ですね。

この結果を見て、個人的には、あちらが立てばこちらが立たずという印象を持ちました。

皆さんはどうでしょうか?

なかなか、禁煙とは難しいものみたいですね。

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