軍人さんの心のサポート
日本でも軍隊や戦争についての議論が時々ありますが、海外では、あちこちで戦争が今も起きています。
戦地に派遣される軍人さんたちのストレスは大きく、心を病んでしまう方も多くいらっしゃいます。
そうした軍人さんに対し、精神疾患じゃないか検査するシステムがあるそうです。
戦地のストレスに関係する精神疾患ですと、トラウマが関係するPTSDや、うつ病、不安障害やアルコール依存症などがあります。
そこで、軍人さんたちに、こうした精神疾患が無いかどうか、アンケートなどでチェックするわけです。
いわゆるスクリーニングです。
これで早期発見できれば、早期治療に結びついたり、治療までいかなくても、他の人に相談するくらいはできるかもしれません。
そうしたら、最終的に精神疾患で苦しむ人たちが減るはずです。
そこで、イギリスで、こうしたシステムが本当に有効なのか調査されました。
これは、ランダム化比較試験という、かなりしっかりした研究スタイルです。
ここでは、アフガニスタンに派遣された後、軍人さんたちの一部に対して、精神疾患があるかないかのチェックが行われました。
そして、その後もフォローアップして、精神疾患の数が減るかどうか、また、チェックを受けた軍人さんがメンタルのサポートを受けようとするかどうかが調べられました。
このチェックの人選はランダムです。
特に、ストレスがたまってそうな人を選ぶとか、逆に元気そうな人を選ぶということはしていません。
研究結果に変に影響しないように、フェアに選んでいるわけです。
さて、この調査は、2011年10月から、2014年10月まで行われました。
参加人数は10190人です。
しかし、残念ながら、、
精神疾患のチェックをしても、その後に精神疾患の数が減るということはありませんでした。
PTSDやうつ病、不安障害、アルコール依存症などの数は、チェックをしてもしなくても変わらなかったようです。
さらに、メンタルのサポートを求める人の割合も変わらなかったとのことです。
残念な結果ですが、精神疾患のチェックが意味を成さなかったということになります。
これは、日本で始まったストレスチェック制度についても考えさせられる結果です。
単にチェックするだけでは、大した意味がないのかもしれしれません。
精神疾患で苦しむ人を減らすためには、さらなる工夫が必要です。
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