リチウムが認知症を予防する?
リチウムは昔から双極性障害(躁うつ病)という気分が上がったり下がったりする病気の治療薬として使われてきました。
これは、過去記事の「リチウム(炭酸リチウム)による双極性障害の治療」でも紹介しました。
しかし、リチウムには脳の神経細胞を保護する力があるのではないかと言われたり、うつ病の人にも効果があると言われたりと、その広い効果が注目されています。
例えば、リチウムがうつ病の再発を防ぐかもしれないという研究結果も過去に紹介しています。
そんな中、リチウムが認知症を予防するかもしれないというデータが出てきました。
なんと、飲み水に含まれてる微量なリチウムが認知症を防ぐというのです。
これは、デンマークの研究結果です。
この研究では、飲み水のリチウムを調べ、1970-2013の間に認知症と診断された人の統計データとの関連性を調べています。
だいぶ古いデータも含まれてますよね。
しっかりとした過去の記録があると、こんな感じに医学研究でも利用できるわけです。
ヨーロッパは行政データをさらりと活用できる国が多く、凄いなと思います。
この研究は期間も長いのが特徴で、1995年から2013年までデータを集め解析し続けたということです。
とても地道な努力です。
予防の研究は、時間がかかるのが難点ですが、それでも実行したのは凄いですね。
さて、その結果ですが、認知症と診断された人が飲んでる水に含まれたリチウムの平均濃度は11.5 µg/L、認知症と診断されていない人だと12.2 µg/Lということで、認知症と診断された人の方が飲んでいた水に含まれているリチウムの濃度が低かったんです。
これは統計学的に解析しても偶然とかたまたまではない数字でした。
また、リチウム濃度別に解析しても、リチウムが10.1-15µg/Lの水を飲んでいた人、15µg/Lより濃い濃度を飲んでいた人は認知症のリスクが低いという結果でした。
これはリチウムが2.0-5.0と非常に少ない水を飲んでいる人と比べて解析した結果です。
つまり、リチウム濃度は低いよりも高い方が良いということ。
水は生きていく上で飲み続けるものですが、リチウムが含まれたものを飲み続けると脳を守ることができ、ボケ防止になるのかもしれません。
ただ、住んでいる地域の違いなど、飲み水のリチウム以外の要素が影響した可能性もあります。
今後は他の地域のデータが出てくると、よりはっきりとしてくるはずです。
できたら日本のデータなども出てくると良いですが、日本は統計的な研究のインフラがヨーロッパほど整ってないのが課題ですかね。
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