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うつ病とSNS


(こちらは昨年にnoteで公開した記事を改変したものです)

FacebookやTwitterを始めとするSNS、ソーシャルメディアは世界中に広まっていますが、その中心はやはり、アメリカです。

そのアメリカで、今、SNSの悪影響が話題になっています。

もともと、SNSにはインターネットを通じて人と人のつながりを広げていこうという素敵な目標がありますが、人と人がつながると、良いことばかりじゃないですよね。

喧嘩になったり、相手と自分を比較して落ち込んだり、妬んだりというネガティブな感情も生まれます。

ネットでやたらと他人をdisる人たちもいます。

もちろん、互いに支え合うという良い面もあり、SNSが心の支えという方も多いでしょう。

つまり、単純にSNSが良い、悪いという問題ではありません。

SNSにはいろんな面があるということです。

さて、今回はそんなSNSの悪い部分を調べた研究をご紹介します。

この研究に参加された人々は、アメリカの若者。

世界中でもっともSNSに関わる層です。

調べられた内容は、SNSとうつ病の関係です。

アメリカで、19歳から32歳の人々、計1787人を対象にして、SNSの使用とうつ病の関係が統計的に調べられました。

男女比はほぼ半々。57.5%が白人とのことで、有色人種も結構含まれた調査になりますね。

調べる方法は、自分で報告するアンケート形式。

SNSに関しては、1日にどのくらいSNSを使うのか、週に何回くらい使うのかなどと使用量について調べられました。

うつ病に関しては、すでに確立されたアンケート調査のフォーマットがいくつもあります。

今回使われたフォーマットは、 Patient-Reported Outcomes Measurement Information System (PROMIS)というものだそうです。

そして、この調査の結果を見ると、、

SNSを多く使う人たちは、明らかにうつ病になりやすい傾向があったそうです。

ちょっと驚きの結果です。

さて、それでは、SNSをたくさんやると、うつ病になってしまうということでしょうか?

SNSはうつ病を引き起こす、うつ病の原因になるのでしょうか?

実は、話はそんなに簡単ではありません。

こうした統計学的な相関関係というものは、イコール因果関係ではありません。

つまり、統計学的な関連性が判明しても、その理由や原因はナゾなんです。

もちろん、SNSをやり過ぎると、それがストレスになってうつ病になる可能性もないわけではありません。

ただし、他の可能性も考えなければなりません。

例えば、一人ぼっちで、孤独な人たちについて考えてみましょう。

孤独で寂しいと、SNSでたくさんの人たちと交流するのは楽しいのではないでしょうか。

SNSが孤独感、寂しさを忘れさせてくれるわけです。

すると、少しずつSNSにはまっていき、毎日何時間もSNSをやることになる。

しかし、残念ながら、SNSだけで寂しさを完全に解消することはできず、寂しさに負けて気分は暗くなり、いつしか、うつ病になってしまう。

こういう人々は、少なくないと思います。

さて、この場合、SNSの使用量が増えたことがうつ病を引き起こしたと言えるのでしょうか?

いいえ、そうではないはずです。

根本的な原因は、孤独や寂しさです。

SNSは孤独や寂しさの解消に多少は役に立ったけど、力およばず、全てを解消できなかっただけです。

この場合、SNSは、むしろ心の支えになっていたと考えるべきで、うつ病の原因とは考えられません。

このように、統計的に関連性があっても、それが原因と証明できるわけではないんです。

もちろん、SNSとうつ病が何らかの形で関連しているのを暴き出したのは、このアンケート調査のすごいところ。

ただし、その統計学的な関連性の解釈は多々あるということですね。

真の原因を探るためには、SNSをやめるとうつ病が良くなるかどうかも確認しないといけません。

もしかすると、SNSはうつ病の原因でなく、心の支えかもしれません。

そうだとすると、気分が落ち込んだ人からSNSを取り上げると、かえってうつ病が悪化するかもしれません。

だから、真の原因を探らないと大変なことになるわけです。

こうした統計の結果からは、いろんな可能性を考える必要がありますね。

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