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うつ病と親と子



親子関係

子供にとって、親の存在は大きいですよね。子供は1人で生きていくことができませんので、どうしても親に頼らざるをえません。親を頼るということは、親に左右されるということです。もちろん、親から良い影響を受ける場合もありますが、悪い影響を受けることだって時にはあるでしょう。こうした親と子のつながりは、精神科においても大事になってきます。今回は父親がうつ病の場合、子供にどのような影響が出るのかを調べたアイルランドとイギリスによる研究をご紹介します。

精神疾患の原因は様々です。脳の異常なども関係しますが、周りの人間の影響も多いにあり、特に家族の影響は少なくありません。特に、子供の頃は親の影響を受けやすいと思います。ある調査によれば自分の心の問題が子供の頃から始まったと考えている人が3/4ほどいるとか。それくらい子供の頃の精神状態は大人になってからも残るということです。この中で、やはり家族との関わりが大きな問題になります。すでに、お母さんがうつ病の場合は、その子供もうつ病になりやすいことが分かっています。しかし、父親と子供の関係はまだよく調べられていないとのことで、この研究につながりました。

Lewis G, et al. The association between paternal and adolescent depressive symptoms: evidence from two population-based cohorts. Lancet Psychiatry. 2017. doi: 10.1016/S2215-0366(17)30408-X

この研究はアイルランドとイギリスで別個に行ったようです。アイルランドでは、まず、9歳のお子さんがいるお父さんのうつ病が調べられました。そして、その子が13歳になった時に子供の方のうつ病が調べられます。また、イギリスの方では、7歳の子供がいる父親のうつ病が調べられ、その子が14歳になった時に、うつ状態がチェックされます。ようは、どちらも子供が幼少期に父親がうつ病というケースを数年後に追跡調査しているわけです。アイルランドでは6070の家庭が、イギリスでは7768の家庭がこの研究に参加しました。日本ではここまでの協力者はなかなか集められないでしょうね。

この結果、父親のうつ症状が強ければ強いほど、子供のうつ症状も強くなるという統計学的な結果が得られました。つまり、母親だけでなく父親の精神状態も子供に影響するということです。

うつ病の診断や治療をする際は、患者さんの子供のことまで考えてあげないといけませんね。もちろん、診察の時には家族関係について聴取するものですが、この重要性が強調される結果だと思います。

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