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うつ病ガイドライン徹底解説23 妄想や幻覚が出るうつ病



うつ病ガイドライン徹底解説

うつ病が重症化すると、現実的に物事を考えることができなくなります。

こうしたことから、妄想と呼ばれる症状が出ることがあります。

自分が何か悪いことをしてしまったと思い込んでしまう罪業妄想、自分が何かの病気(うつ病ではなく、癌などの体の病気)になっていると思い込む心気妄想、自分が貧乏でお金が無くなったと思い込む貧困妄想などが代表的なものですが、これ以外にも妄想はあります。

ここでいう妄想とは、空想、想像などとは違って、明らかに現実ではないことを強く思い込むというもので、病的な症状になります。

こうした妄想や、幻聴、幻視などの幻覚を合わせて精神病症状と言いますが、うつ病がひどくなり精神病症状が出た場合は精神病性うつ病と言ったりします。

うつ病ガイドラインには、こうした精神病性うつ病は、うつ病の15%に見られると書かれています。

こうした場合、本当にうつ病なのかどうかの見極めが大事になります。

精神病症状が出る代表的な病気は統合失調症や妄想性障害などですから、こうした病気ではないかを考えないといけません。

また、高齢者ですと、レビー小体型認知症という認知症の症状としてうつ病、幻覚、妄想が出る場合があり、症状が似ているので注意が必要です。

さて、この精神病性うつ病の治療ですが、普通のうつ病と変わりません。

まずは、抗うつ薬を使って治療しますし、場合によっては非定型抗精神病薬などを使って増強療法を行います。

うつ病が良くなった後は、再発予防ための薬物療法に移ります。

また、修正型電気けいれん療法も有効ですから、薬が効かない場合などは考慮します。

うつ病学会のガイドラインでは「修正型 ECT は最も有効な推奨治療である」とまで書かれています。

こうしたことは精神病症状がないうつ病の治療と大きく変わりませんが、精神療法、心理カウンセリングに関しては難しいかもしれません。

精神病症状が出ているということは、現実的な考え方ができていない状態ですから、会話もうまく噛み合わないことが多いです。

会話ができないと、ほとんどの精神療法、心理カウンセリングは成り立たないものです。

もちろん、会話が難しくても、うつ病についての説明するなどの心理教育という手段は行う必要があるとは思います。

さて、次回は緊張病という症状がある場合について説明します。

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