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うつ病ガイドライン徹底解説20 漢方薬、ベンゾジアゼピン系など



うつ病ガイドライン徹底解説

引き続き、うつ病の薬の話です。

漢方薬の中にも、うつ病を治療する効果があるものがあるので紹介します。

加味逍遥散という漢方薬は、月経困難や更年期障害などに使う漢方薬なのですが、実はうつ病にも効果があることが分かっています。

海外では、”Free and Easy Wanderer Plus”と言われ、大規模な臨床研究(いくつかの臨床研究を統合したメタ解析という手法です)が行われており、うつ病に対して効果があること、また、抗うつ薬と加味逍遥散を一緒に使うと治療効果が上がることなどが分かりました。

ただ、漢方薬にも副作用があります。

例えば、偽アルドステロン症といって、血圧が上がったり、血液中のカリウムという電解質が下がったりすることがあります。

どんな薬でも副作用はあるので、注意して使う必要はありますね。

また、漢方薬ではありませんが、セントジョーンズワート(St. John's wort)、日本で言うところのセイヨウオトギリソウも、抗うつ効果があることが知られています。

ただし、日本人での科学的エビデンスが足りないことを理由に、うつ病ガイドラインではあまり推奨していません。

なお、セントジョーンズワートはSSRIなどの抗うつ薬と一緒に使うと、セロトニン作用が増強されて副作用が出やすくなりますので注意が必要です。

また、不安をやわらげる薬や睡眠薬には、ベンゾジアゼピン系と分類される薬が多いのですが、これがうつ病の治療に使われることが日本ではよくあります。

確かに、不安をとる作用や、睡眠を促す作用があるのですが、うつ病の中核症状を改善するわけではありませんし、依存性が強く、衝動性が高まったり、注意力や記憶力が低下するなどの副作用が問題視されています。

また、日本では、長期に何種類もベンゾジアアゼピン系の薬が投与されることが問題となっています。

うつ病学会のガイドラインでは、

「最大、抗不安薬1剤、睡眠薬1剤までを原則とする」

と書かれています。

少なくとも、 漫然と長期に投与するのは有害性が強いので、使用するとしても短期間だけと思っておきましょう。

さて、次回は、抗うつ薬が効かなかった場合の次の手、第二のプランを立てることについて解説します。

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