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認知症と道路


今回は認知症と道路の研究を紹介します。カナダの研究です。

「認知症と道路」って、なんのことだという感じですよね。

実は、最近は公害と脳の病気の関係が取り上げられることが多いんです。

そして、大きな道路の近くに住んでいる人の脳の機能は低いなどという報告があり、その関係性に焦点を当てた研究が行われました。

調べられたのは、認知症、パーキンソン病、多発性硬化症という三つの神経疾患、脳の病気です。

パーキンソン病は、体が動きにくくなったり、手足が勝手に震えたりする病気で、高齢者に多い病気です。

多発性硬化症は免疫が神経を攻撃する病気で、しびれや麻痺、痛み、うつ病の症状など、様々な症状を出す病気で、比較的若くして発症する方が多いです。

この研究はカナダで行われ、人口統計的に調査されました。

2001年の4月の時点で、カナダで生まれ、オンタリオという場所に5年以上住む20歳から50歳の人々全員と55歳から85歳までの人々全員が調査対象です。

具体的には、20-50歳が約440万人、55-85歳が約220万人です。

年代で区切るのは、発生する病気の年代の違いによるものです。

先ほど言った通り、多発性硬化症は若くして発症するので、20-50歳の人々の中で何人が発症するか調べられ、55-85歳の方では、認知症とパーキンソン病の発症が調べられました。

ちなみに、この2001年の時点では、この人々は認知症、パーキンソン病、多発性硬化症という神経疾患にはなっていません。

この後になるかどうかが調べられたのです。

そして、大きな道路にどれくらい近くに住んでいるかが確認されました。

そして、2001年から2012年まで観察し、何人が認知症、パーキンソン病、多発性硬化症になるか統計が取られました。

そして、道路以外の要因も確認されています。

例えば、田舎か都会か、空気の公害があったかなどです。

さて、2001-2012年の間に、243, 611人の方が認知症になったことが確認されました。

パーキンソン病になったのは31,577人です。

そして、多発性硬化症は9,247人でした。

こうして見ると、認知症は多く、多発性硬化症は少ない病気だなと分かりますね。

そして、道路との関係ですが、、

大きな道路から300mより遠くに住んでいた人と比べて、

大きな道路から50m未満の場所に住んでいた人は、認知症になるリスクが1.07倍と少し上昇していたのです。

これは、距離別に統計が出ています。

大きな道路から50-100mの場所では1.04倍、

101-200mでは1.02倍、

201-300mでは1.00倍となっています。

距離が離れるにつれて、リスクは見事に減っていくという綺麗な結果でした。

この傾向は、都会に住んでいる人の方が顕著に表れていたとのことです。

そして、パーキンソン病と多発性硬化症は大きな道路と関係ありませんでした。

しかし、この統計からは、なぜ道路と認知症が関係していたのかは分かりません。

もしかすると、車の騒音が脳に影響したのかもしれませんし、家賃や収入の問題が関係したのかもしれません。

大きな道路の近くだと、便利だから遠出しなくなり、運動不足になったのが脳に悪かったのかもしれません。

こういう研究は、単に「関係がある」としか言えず、因果関係、何が原因になっているのかまでは分かりません。

安易に大きな道路が悪いと思い込まず、今後は因果関係も調べないといけないですね。

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