ベンゾジアゼピンと適応障害
新しい職場に馴染めない、新しい上司や先輩、同僚などと良い人間関係が保てない。こんな状況は誰でも辛いですよね。さらに酷いと、長時間労働を強制されて寝る時間もない、上司から罵倒され続け心がボロボロ。このように職場の環境が原因で、うつ状態になったり、不安症状から自律神経系のバランスが崩れ動悸や吐き気などの症状が出る方は多く、これを適応障害と言います。(適応障害の治療については過去のこちらの記事参照)
どうも、うつ病の方が名前が分かりやすいからか有名になってしまいましたが、本当は環境因からうつ状態になった場合は適応障害のケースが多いのです。うつ病はさらに重症で症状が24時間毎日続くようなものを言います。
さて、以前の記事でも解説しましたが、この適応障害の原因は職場の環境ですから、その原因から離れれば精神症状や自律神経症状は治ります。例えば、休職する、職場を異動する、転職するなどすれば、動悸や吐き気は無くなり、ずっと眠れなかった人でもグッスリ眠れるようになります。気分は明るくなり、冷静に物事を考えることもできるようになります。しかし、原因から離れるという選択肢を選べない人は、なかなか治ることができません。そして、メンタルクリニック、精神科や心療内科に足を運ぶことになります。
この時によく処方される薬がデパス、ソラナックス、メイラックスなどのベンゾジアゼピンという薬です。ベンゾジアゼピンを飲むとリラックスし、自律神経の症状が消え、夜眠れるようになります。こういう効果がすぐに得られるのがベンゾジアゼピンの特徴です。このため、とりあえずベンゾジアゼピンを飲んで症状を消しながら仕事に行く人も多いでしょう。しかし、ベンゾジアゼピンを時々使うくらいなら良いと思いますが、連続的に使うと依存性が出てきます。(ベンゾジアゼピン依存症については過去のこちらの記事を参照)ベンゾジアゼピンを毎日、1ヶ月以上使うと、なかなかやめられなくなります。また、ベンゾジアゼピンは平たく言えば脳を麻痺させて不安を取る薬ですから、考えたり、集中したり、記憶する神経回路まで麻痺させてしまったりという副作用もあります。ベンゾジアゼピンを飲むと、ボーッとしたりだるかったりすることも、よくあります。やはり、万能薬なんて無いものなんです。しかし、飲めば落ち着き会社に行けるようになります。つまり、仕事を休んだり辞めたりするか、ベンゾジアゼピンを飲んで仕事を続けるのか、選択を迫られることになります。
別にベンゾジアゼピンを飲みながら仕事に行くことが悪いと言っているわけではありません。色々な諸事情で仕事に行くしかないと考える人はいるでしょうし、ベンゾジアゼピンという有効な方法があるのであれば、それを選ぶのも良いはずです。しかし、副作用や依存症のリスク、今後もストレスが続き精神疾患が重篤化するリスクなど様々なリスクを背負う決断になります。もちろん、例えば転職という方法も、なかなか次が決まらないリスクや給料が下がるリスクなど様々なリスクがあるでしょう。ですから、大事なことはそれぞれのリスクを十分に考慮した上で選択するということです。そして、もし十分に考慮する余裕がないのであれば、一度休職するのも良いと思います。しばらく休めば冷静になりますし、仕事について考える時間も作れます。よく考えてやはり仕事を続けたいと思えば復職すれば良いわけです。仕事についての選択は生活に関わる重い選択です。時間をかけて考えることが大事です。
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