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抗てんかん薬で双極性障害を治療する



抗てんかん薬のバルプロ酸、ラモトリギン、カルバマゼピンは双極性障害の治療に使う

今回は抗てんかん薬を双極性障害の治療に用いる場合を解説します。てんかんとは脳が発作的に興奮して、意識を失ったり、体が痙攣したり、硬直したりする病気です。子供に起きることが多いですが、脳梗塞など脳の病気で起きることもあり、歳をとって脳が傷むとてんかんになりやすくなったりします。

こうした、てんかん、という病気を治療する薬が抗てんかん薬ですが、この一部には双極性障害を治療する効果があり、実際に病院やクリニックでも双極性障害の治療に抗てんかん薬が使われることは珍しくありません。代表的なものは、バルプロ酸で、商品名で言うとデパケンやセレニカなどになります。双極性障害の治療は、躁病の治療、うつ病の治療、再発予防のための維持療法などに分かれますが、バルプロ酸は躁病の治療に優れています。うつ病の治療にもある程度は有効ですが、再発予防の効果はほとんど無いようです。パルプロ酸は採血して血中濃度を測ることができ、この血中濃度を指標にして用量を調節します。副作用は、だるくなったり、食欲が増えたり、めまいや眠気が出たりなどがあります。稀にアンモニアという数値が上がってしまったり、肝臓に障害が出たりすることもありますが、この辺も血液検査をしていればチェックできます。妊婦さんに使うと子供に奇形が出るリスクがあり、基本的には妊婦さんには使わない薬になります。

その他の抗てんかん薬では、ラモトリギン、消費名ラミクタールがあります。これは、双極性障害のうつ病を防ぐ効果に優れています。うつ病自体を治療する効果も多少ありますが、躁病に対する効果はほとんどないようです。そもそも、ラモトリギンは皮膚が真っ赤になったりといったアレルギー症状が出やすく、これを防ぐためにゆっくりゆっくり数ヶ月かけて増やす必要がある薬なので、すぐに効果を期待できるものではないです。なので、今ある症状を良くするというよりも、長い目で見て良い薬、将来的に良い薬といった感じです。こちらはバルプロ酸とは違い、血中濃度を測らずに使います。

あとは、カルバマゼピン、商品名でいうとテグレトールという薬も双極性障害の治療に使います。これは躁病には有効ですが、双極性障害のうつ病には効果はほとんどありません。また、再発予防の維持療法としての効果も乏しいです。つまり、躁病、躁状態を抑える薬に特化しているわけです。結構、眠気やふらつきなどの副作用が出るので、最近はあまり使われない印象です。このカルバマゼピンも血中濃度を測定しながら使います。

このように、抗てんかん薬の中にはいくつか双極性障害に有効なものがあるのですが、他の薬と一緒に使うと血中濃度が上がったり、下がったりと左右してしまい、他の薬への影響が強いです。例えば、ラモトリギンとバルプロ酸を一緒に使うと、ラモトリギンの血中濃度が上がってしまいますし、ラモトリギンとカルバマゼピンを一緒に使うと、ラモトリギンの血中濃度が下がってしまいます。このため、抗てんかん薬は他の薬と一緒に使いにくいという欠点があります。

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