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アルコールは週に100グラムまで


このページについて:一週間のうちどのくらいアルコールを摂取しても大丈夫なのか、飲酒量の上限についての研究報告が出ましたので、ご紹介します。

お酒はアルコール依存症に深く関わりますし、うつ状態や不眠症の原因になったり、認知症を引き起こしたりするので、精神科業界では常に注目されています。しかし、お酒は単に精神疾患と関係があるだけではなく、当然ですが身体の健康を損なう大きな原因です。たくさんお酒を飲むと肝臓を壊したり、生活習慣病になったり、心臓の病気や癌などの深刻な病気のリスクが上がったりと、さまざまな健康被害をもたらします。お酒が体に悪いことは、もはや誰でも知っている常識でしょう。

しかし、お酒をたくさん飲むと良くないことは知っていても、どのくらいまで飲んでもよいのか、どれくらい飲むと危険なのかを知っている人は少ないと思います。飲酒量の許容範囲、アルコールの上限は、ちゃんとした調査で明らかにすべき話ですが、どうやら、これまでにお酒の量と健康被害の関係は、あまりしっかりと調べられてきていなかったようです。そこで、国を超えてアルコールの量と病気や余命との関係が調査されました。今回はその結果をご紹介します。

この研究では、19の先進諸国の中から飲酒している人たち599,912人のデータが集められました。これはちゃんと一年以上はデータが取れた人に限定されています。また心臓の病気や血管系の病気がある人は除外されています。

ちなみに、この調査ではアルコールの量はグラム換算で表記されています。アルコール健康医学協会のサイトによると、お酒のアルコール料は下記の式で計算するそうです。興味がある人は計算してみて下さい。

お酒の量(ml)×[アルコール度数(%)÷100]×0.8

さて、アルコールと体の具合との関係はどうだったのでしょうか。病気というのは色々な要因が関係するので計算が難しいのですが、統計学的な計算により、性別や年齢、喫煙、糖尿病などの関連性を抜いてみても、週に100グラム以上のアルコールを飲む人は死亡率が高くなるという結果が得られました。100グラムのアルコールというと、アルコール度数が5度のビールにして約2.5L、15度の日本酒では約5合くらいの量です。下のグラフ(左側)を見ると分かりやすいのですが、週に100グラムを越えると死亡のリスクがどんどんと上がるのが分かります。


アルコールの量と死亡率の関係

また、お酒をたくさん飲めば飲むほど、脳梗塞、心不全、致死性の高血圧、致死性の大動脈瘤といった深刻な病気のリスクが上がることが分かりました。ただ、意外なことに、心筋梗塞だけは、お酒を飲むほど確率が下がるという結果でした。

さらに、お酒のせいでどれだけ寿命が減っているかが計算されました。週に0g-100gだけアルコールを摂取している人に比べて、週に100g-200g、200-350g、350g超のアルコールを摂取する人が、それぞれどのくらい余命が短くなるかが男女別に計算され、グラフ化されました。このグラフは下に載せます。


アルコール摂取量と余命

このグラフは年齢別に見るのですが、例えば、40歳の時点で週に100g-200gのアルコールを摂取する人は、0g-100gの量を摂取する人たちに比べて、男女ともに半年ほど余命が短いことが分かります。そして、週に200-350g摂取する人は1-2年、週に350g超の人は4-5年ほど余命が短くなっています。

これを見て、皆さんはどのように思われたでしょうか。やはり、飲み過ぎは良くないなと思われるでしょうか。興味があれば、自分が週にどれだけアルコールを摂取しているかを計算して、そのせいでどれだけ寿命が減っているのかをグラフから読み取ってみて下さい。お酒を飲む量を減らせるかもしれません。

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