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混合うつ病が良くなったら、薬をやめても良い?


前回は、混合うつ病の治療薬について説明しました。とりあえず、初期治療は第三段階までありますし、これで十分でしょう。しかし、これで精神状態が安定したとして、その後はいつまで薬を続ければ良いのでしょうか? 例えば、カゼやインフルエンザであれば、病気の時は薬を使いますが、良くなったら数日から数週間で薬を中止しても大丈夫ですよね。一方で、長らく薬を続けて治療する病気もあります。高血圧や糖尿病などは数十年と薬を続けることも珍しくはありません。また、ガン、悪性腫瘍なら、手術で取り除いても再発するリスクがあり、再発を防ぐためにしばらく抗がん剤を続けたりします。精神疾患もこの考え方に近いですね。良くなった後も、再発を防ぐために薬を続けることが多いです。うつ病であれば、数ヶ月は再発を防ぐために薬を続けますし、過去に何度かうつ病を再発している人であれば、長くて数年は薬を続け、再発を防いでいきます。この期間を聞くと、長いなと思う人もいるかもしれません。双極性障害、躁うつ病では、薬をやめると再発してしまう可能性が極めて高いので、生涯に渡り薬を続けることが多いです。薬をやめるとうつ病や躁病が再発し、せっかく精神状態が安定していたのに、また不安定な状態に戻ってしまうのです。この再発リスクが、うつ病と双極性障害では違います。双極性障害の方が、良くなった後もずっと再発しやすい状況が続くのです。では、混合うつ病はどうなのでしょうか?

混合うつ病は、うつ病の治療よりも双極性障害の治療に近いです。それだけで考えれば、双極性障害と同じように、ずっと薬を続ける必要があるようにも思えます。しかし、そもそも混合うつ病は新しい概念で、しっかりとした診断基準もありません。そのため、よく研究されていないのが現状です。どの薬が効くかはようやく分かってきましたが、それをどのくらい続けた方が良いのか、良くなったら薬をやめてしまって大丈夫なものなのか、そもそも薬を飲み続けて本当に再発が防げるのかなどは分かっていません。この辺は、もっと多くの臨床研究、調査で確認が必要になります。しかし、混合うつ病も再発するリスクがあるのは確かです。やはり、うつ病が再発して仕事ができなくなったり、社会的な生活が壊れたりすると大変です。また、混合うつ病は双極性障害の初期症状という場合もあります。ゆくゆくは双極性障害に発展し、躁病(ハイになったり、危険な行動をとったり、怒りっぽくなったりします)の症状が出てくるかもしれません。この場合、薬を続けていると躁病、うつ病ともに再発を予防できます。しかし、そうとは知らず薬をやめると、双極性障害の症状が現れてくるかもしれません。これは困りますが、双極性障害になるかどうかを見極めることは現時点では難しいので予想が立てられません。

このように、薬をやめることは、ある程度のリスクがあります。ですから、少なくとも何度も再発を繰り返している方は、今後も再発の可能性が高いので、薬を飲み続けた方が良いのかもしれません。そして、もし薬を中止する場合でも、これから先、再発するリスクがあることは医師から患者さんに説明すべきです。そして、何かあったらまた治療を再開しましょうなど、医師と患者の間で、今後についての相談が必要ですね。

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