睡眠薬のガイドライン徹底解説
慢性的に不眠に悩む人は多いと思います。
3ヶ月間、週に3回以上眠れないと慢性的な不眠症ということになります。
これは、二次的な不眠、例えば、うつ病により眠れないとか、むずむず脚症候群で眠れないというように、不眠症の原因が他にある場合は除きます。
ただ、特にこれといって不眠症の原因となる病気がなくても、不眠症になる方もいるわけです。
不眠症の治療のために、薬を飲んでいる方もたくさんいらっしゃいます。
もちろん、薬には副作用があります。
まずは、薬を使わない治療(認知行動療法が一番勧められています)を試すべきですが、それでも眠れない場合は睡眠薬を使わざるを得ない場合もあります。
そんな時は、せめて適切な薬を選びたいですよね。
そこで、睡眠薬のガイドラインを徹底的に解説しようと思います。
最新のものだと、2017年にアメリカ睡眠医学会が発表した睡眠薬のガイドラインがあります。
やはり、最新の情報が一番ですので、このガイドラインの解説をしたいと思います。
なお、このガイドラインでも、まずは薬を使わない認知行動療法が勧められています。
こちらのガイドラインでは、睡眠薬の研究論文を多く集めて結論を導き出すという手法をとっており、現代医学の結晶と言えるでしょう。
ガイドラインでは、色々な研究結果も引用されています。
その結果を見るときに、プラセボというものを知っておいた方が良いです。
人間とは面白いもので、こうした偽物であるプラセボを使っても心理的な効果などから、脳に影響して睡眠を良くしたりと本物の薬のような働きが出ます。
しかし、これではおまじない程度のものですから、薬はプラセボよりも効果があるという結果を出して、初めて有効性が証明できるのです。
なので、研究結果の数値は、プラセボと比べてどれだけ効果があったかを示す書き方をしています。しかし、実際の効果は、それにプラセボの効果を加えた数値なので、もっと大きいものになります。
なので、数字を見るときは、そこを取り違えないようにして下さい。
さて、このガイドラインでは様々な研究結果を取り寄せていますが、なかなか、まだ良いデータがなく、エビデンスとしては弱いものになっているとのことです。これは少し残念なところです。
ただ、少なくとも2017年現在では一番しっかりしたものになります。なので、無視できるものではありません。
なお、睡眠薬について考えるためには、不眠のタイプを知っておかないといけません。
不眠には、寝つけない、寝始めるのに時間がかかるという入眠困難という症状と、寝ついた後に、途中で起きてしまう中途覚醒があります。早朝に起きることを早朝覚醒と言ったりもしますが、とにかく、不眠には寝始めるのがダメなタイプと、途中で起きてしまうタイプがあることを知っておいて下さい。
寝始めるのがダメなタイプには、寝つきを良くする薬(睡眠導入剤)を使います。
途中で起きてしまうタイプには、睡眠を維持する薬、安定させる薬を使います。
では、薬の名前(かっこの中は商品名の一例です)を列挙しますので、知りたい薬のページをご覧ください。なお、睡眠薬は他にもたくさんありますが、上記のアメリカのガイドラインで扱っていない薬は書いていません。
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