うつ病ガイドライン徹底解説9 治療計画
今回は、うつ病の治療計画について、大まかな概要を説明します。
うつ病の治療では、まず、治療場面を選択しないといけません。
つまり、外来治療か入院治療かを考えるということです。
うつ病の治療は基本的には、通院治療、外来治療で行いますが、ある程度の重症度がある場合は入院治療を考えないといけません。
うつ病学会のガイドラインでは、入院治療を考える場合を3つ記載しています。
一つは、「自殺企図・切迫した自殺念慮のある場合」です。
患者さんが自らを傷つける可能性がある場合は、患者さんの生命、身体を守らないといけませんから、入院して保護することを考えないといけません。
また、「療養・休息に適さない家庭環境 」も入院を考える条件になります。
うつ病の治療では、休むことが大切になります。
しかし、家で全く休めないということになると、入院して休むという選択肢も出てきます。
あとは、「病状の急な進行が想定される場合」でも入院を考えます。
急激に悪化している場合や、治療しても悪化していく場合などです。
また、うつ病で食事が食べれず栄養失調になった場合など、体の具合が悪くなった場合でも、入院が必要になるケースがあります。
さて、外来で治療するか、入院で治療するかを決めたら、具体的にどんな治療をするのか考えなければなりません。
ただ、どんな場合でも、原則として行わないといけないことがあります。
それが、心理教育と呼ばれるもので、簡単に言うと「丁寧な説明」です。
まず初めに、うつ病がどんな病気で、どういった治療方法があるのかをしっかりと説明します。
これは、当然と言えば当然ですね。
なんの説明も無いままに治療が始められたら、誰だってびっくりするでしょう。
そんなことでは、患者さんは医者を信用できないと思います。
医療は患者と医者の信頼関係で成り立っています。
これは、外科や内科でも、精神科でも一緒でしょう。
ちゃんとコミュニケーションを取って、医師ー患者の関係を構築しないと治療を始めることができません。
また、しっかりと説明することで、うつ病の治療がうまくいく、治療成績が上がることが統計学的に明らかにされています。
ですから、丁寧に説明することが、治療の一歩目と言うこともできます。
さて、次回は、治療を始める時の説明内容について解説していきます。
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