うつ病ガイドライン徹底解説3 ストレス
さて、「日本うつ病学会治療ガイドライン II.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016 」の解説を引き続き行なっていきたいと思います。
前回は過去の情報、その人がどのように生きてきたかという情報(専門用語でいう「生活歴」)が大事ということを話しました。
もちろん、こうした話は大事なんですが、直接的にうつ病に結びつくというより、間接的な要素になります。
今回は、もっと直接的にうつ病に関係する情報について確認していきたいと思います。
うつ病について考える上で、やはり欠かせないのがストレスです。(ストレスの学術的な意味を知っている人は、ここでは心理的ストレス、精神的ストレスの話だと思って下さい)
みなさんのストレスはどんなものでしょうか?
自分の最近の生活を振り返って、考えてみて下さい。
色々と思い浮かぶのではないでしょうか?
人間には色々なストレスがあると思います。
性格や考え方によって、どのようなことがストレスになるかは違ってきます。ある人には嫌なことでも、ある人には楽しいということもあります。
物事のとらえ方、感じ方は人それぞれです。
しかし、こうしたストレスが積もり積もっていくと、心のバランスを崩していくことがあります。多くのうつ病は、ストレスが関わっています。
このため、物事のとらえ方、感じ方を変えて、ストレスを減らしていくという方法でうつ病を治療する方法もあります。
同じ出来事でも、ネガティブにとらえるより、ポジティブにとらえる方がストレスが少なくなったりするわけです。
ただ、どう考えてもポジティブにとらえられないような出来事もあります。
例えば、、
身近な人が亡くなった。
急に仕事が無くなり、生活が苦しくなった。
大きな事故にあった。重い病気にかかった。
いじめ、セクハラの被害を受けた、などなど。
こうしたことがらは、誰にとっても嫌なものです。ちょっと考え方を変えればすむという話でもありません。
ものすごく辛い出来事があった時に、辛く悲しい気分になるのは自然なことで、それだけで精神疾患、心の病気と診断されるわけではありません。
しかし、こうした辛い出来事から抜け出せず、長い間、苦しい状態が続く場合は心の病気と考える場合もあります。
こうしたストレスをとらえることは、うつ病を評価する上では欠かせない情報です。
なぜならば、ストレスが強すぎる場合は、まずはそのストレスの元になる部分を解決しないといけないからです。
つまり、治療の計画を立てる上で、大事な情報になってきます。
さて、次回は、過去から現在に視点を変えていきます。
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