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うつ病ガイドライン徹底解説11 薬を使うときの注意点



うつ病ガイドライン徹底解説

今回は、薬による治療について説明します。

うつ病の薬を「抗うつ薬」と呼びますが、この抗うつ薬には副作用があります。(ちなみに、副作用の無い薬はありません)

吐き気や下痢、眠気などが多い副作用ですが、さらに注意しなければいけないのは「アクチベーション」というものです。

アクチベーションは直訳すれば活性化、賦活化です。

意欲とか楽しい気分などの良い部分を活性化し、うつ病を治すのなら良いのですが、抗うつ薬は不安や衝動性といったネガティブな要素まで活性化してしまうことがあり、かえって精神状態が悪くなることがあります。

また、うつ病ガイドライン徹底解説8で双極性障害の人が抗うつ薬を飲むとかえって悪くなると言いましたが、診断を間違えて投薬すると精神状態が悪化することがあるので、注意しないといけません。

もちろん、正しく診断すれば良いんですが、双極性障害とうつ病は非常に見分けにくいという問題があるのです。

また、抗うつ薬は肝臓にあるシトクロームP450 (Cytochrome P450: CYP)という酵素に影響しますが、このCYPという酵素は他の薬を代謝するのにも使われます。

ですから、他の薬と一緒に抗うつ薬を飲むと、このCYPが関係して、効果が弱まったり、副作用が強く出たりすることがあります。

これは、薬の相互作用と呼ばれます。

このように、薬を一緒に使う場合には、相性の良し悪しを考える必要があります。

どの薬と、どの薬が相性が悪いのかといった情報は、薬の販売元が発行している「添付文書」に書かれています。この添付文書は全てネットで公開されています。

また、うつ病になると眠れなくなるので睡眠薬が一緒に出たりしますが、基本的にほとんどの睡眠薬はうつ病自体には効果がありません。

それに、睡眠薬は依存性や認知機能障害(忘れっぽくなるなど)などの副作用が問題になるので、あまり簡単に使わない方が良いでしょう。

ただし、例外があって、ゾピクロン、エスゾピクロンという睡眠薬は、抗うつ薬と一緒に飲むと、うつ病自体の治りが良くなることが分かっています。ちょっと苦味がありますが、依存性などの副作用も少ないですから、この睡眠薬はうつ病の人に向いていますね。

さて、次回は残念ながら治療がうまくいかなかった時にどうするかという話をします。

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